志望理由書の書き方①

志望理由書は総合型・学校推薦型に欠かせない書類

大学を選ぶ理由は人それぞれだ。「子どものころからずっとこの大学に憧れていた」などといった強固な理由を持っている人もいれば、「たんに志望学部があるから」「学力的にねらえそう」「家から通いやすいから」というような人も多いだろう。一般選抜(入試)では理由を問われないので、とりあえず受けて受かった大学のなかから好きなところを選べばよい。

ところが総合型選抜や学校推薦型選抜ではそうはいかない。「なぜ、この学校に入りたいのか」「どのくらい意欲を持っているのか」という理由や熱意も合否を決める重要な判断材料だからだ。その点について述べる書類が志望理由書である。

志望理由書は大学・短大入試の総合型・学校推薦型選抜や専門学校の出願の際に提出する書類で、これ単体でも選考の材料となるが、面接時の資料としても重要である。志望理由書の代わりにエントリーシートという多様な設問の入った書類の場合もあるが、エントリーシートにも志望理由を書く欄は必ずある。

志望理由書では「熱意」や「意欲」を示すことが大事だ。だが面接と違い、言葉に熱や力を込める、身を乗り出して、目を輝かせて話すといった芸当はできない。

では、入りたいという熱意を書面で示すにはどうしたらよいだろうか。

それは他の大学ではなく、貴学でなければならないという理由を具体的に、事細かに述べることだ。志望動機そのものは「学びたいことが学べるから」「雰囲気や伝統に憧れた」「制度や施設が充実している」など、どの志願者も大差ない。差がつくのはあくまで理由の説明部分である。どれだけ説得力のある内容を述べられるか、志望理由書の善し悪しはここで決まる。

志望理由書で書くことは決まっている

志望理由書で書くことは次の4つだ。これを番号順に述べていく。

①志望動機

②その理由・きっかけ

③そのなかでなぜ貴学か

④入学後(卒業後)の抱負

①の志望動機の書き方は3つある。

A:就きたい職業で書く

B:学びたいことで書く

C:志望大学で書く

Aは将来目指す職業が決まっているときの書き方だ。教師、医師、看護師、弁護士、公認会計士、設計士、建築士など専門的な職業を目指している場合はこの書き方にするとよい。

「私は将来○○を目指している。そのために貴学が最もよい環境であると考え、志望した」このような流れだ。

私が○○大学医学部看護学科を志望した理由は、将来看護師を目指す上で貴学の教育システムが自分に最も合っていると感じたからです。

私は中学校の数学教師を目指している。そのため、地元で最も多くの中学教師を輩出している貴学(○○大学教育学部)を志望した。

Bは大学で学びたいことを志望動機にする書き方だ。理系をはじめ研究したい内容が決まっている場合や一般企業への就職、将来をまだ決めていない人などもこの書き方が一般的だ。

私が○○大学理学部物理学科を志望したのは、幼いころからの夢であった宇宙物理学が高いレベルで学べるからだ。

私は法律、特に民法について深く学びたいと思い、○○大学法学部を志望しました。

Cは貴学でなければならないという理由から書くパターンだ。大学に特別な思い入れがある場合やスポーツ推薦などはこの書き方がよい。

私が○○大学○○学部を志望した理由は、自由闊達に、世界で活躍する大きな人間を育てるという貴学の理念に惹かれたからだ。

私が○○大学スポーツ科学部を志望した理由は、貴学ラグビー部に中学生のころから憧れていたからだ。

書き出しにきまりはないが、上記のように志望した理由か、なりたい職業をまず簡潔に述べたほうがよい。そのほうがわかりやすく、内容もブレづらい。大学は貴学、または貴大学と書くのが一般的だが、一番最初のみ○○大学と正式名称で書いてもよい。

理由(きっかけ)は体験談を交えて詳しく書く

志望動機を受けて、その理由・きっかけとなった出来事を書いていく。

「~を学びたい理由(きっかけ)は~」

この流れの部分だ。理由やきっかけは各々が体験したことや感じたこと、考えから来ているので、それぞれ違う。志望理由書で最も差が出る箇所なので、できるだけ詳しく説明していこう。

たとえば、上から2番目の数学教師の例では

(私は中学校の数学教師を目指している。そのため、地元で最も多くの中学教師を輩出している貴学教育学部を志望した。)

私は子どものころから算数が得意だったが、中学時代に学んだ二次方程式で数学の面白さを知った。同級生に二次方程式を教えてあげると、わかりやすいと感謝され、将来は中学校の数学教師になりたいと考えるようになった。

指定字数が短いときや面接で答えるときはこの程度でもかまわないが、志望理由書の内容としては物足りない。では、どうすればよいか?

大切なのは一つひとつの内容に体験談やエピソードを入れて、詳しく述べていくことだ。この例でいうと「子どものころ算数が得意だった」「二次方程式で数学の面白さを知った」「同級生に教えてあげると感謝された」、文の流れはそのままに、これらにエピソードを加えて内容を深めていく。

 私は子どものころから算数が得意だった。小学生時代そろばんを習っていたので、上の段位を目指すうちに自然と数字に強くなっていった。ただそのころはやるようにいわれたから、あるいはよい成績を取ると褒められるからという理由で算数をやっていたが、中学生になり、問題のレベルが上がるにつれて、数学の面白さに惹かれていった。

特に二次方程式を学んだときのことはよく覚えている。これまで見たことのない数式に私もはじめは驚いたが、解き方さえ覚えれば思いのほか簡単だと気づいた。一見複雑な問題も、きれいな整数の解が出てくるのが面白くて、問題集をいくつもやり、定期テストでは満点を取った。すると、同級生たちから二次方程式を教えてほしいと頼まれたので、自分なりに書き方を工夫した解説書を作って教えてあげた。その解説書はクラス中の評判となり、すっかり気をよくした私は、将来数学の教師になりたいと考えるようになった。

上の文を丁寧に書くだけで、長さはこれだけ伸び、どのようなことが起こったのかもよくわかるようになる。理由・きっかけ部分で大切なのは、体験談やエピソードを詳しく、わかりやすく説明していくことだ。

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