志望理由書の書き方②

その中でなぜ貴学を選んだのか

志望動機→その理由・きっかけ

この流れの次は、そのなかでなぜ貴学(貴校)を選んだのかを述べる。志望理由書はここを詳しく述べられるかどうかで差がつく。

○幼稚園教諭になりたいのであれば、なぜこの大学でなのか。保育士ではダメなのか。

○文学を学びたいのであれば、文学部のある大学は無数にある。そのなかでなぜこの大学でなくてはならないのか。

○プログラマーになりたいのであれば、大学より専門学校へ行ったほうがよいのではないか。

読み手、聞き手(面接時)とすれば、当然これらの疑問を抱く。したがって、それにきちんと答える内容にする。

志望動機で受験生が最も苦労するのはこの部分だ。大学を選んだ理由そのものは答えられても、志望校の特色や、他校との違いは目的意識を持って調べたり、探したりしなくては答えられない。では、どのようなことを調べればよいのか。

志望校のアピールポイントを調べる

志望校のことはホームページ、パンフレット、プロモーション映像、オープンキャンパスなどで調べる。その際、以下のような各校のアピールポイント(売り・特長)をしっかりと把握することが大切だ。

①アドミッションポリシー・教育理念・建学の精神

②授業内容・カリキュラム・研究内容・教授・講師・ゼミナール

③就職実績・大学院・卒業後の進路

④設備・校舎・図書館

制度(留学、インターンシップ、単位交換)

部活動・著名なOB・OG

⑦校風、雰囲気、立地

各校アピールポイントは1つということはないし、入学者を募るための宣伝であるので、それぞれ魅力的に映ると思う。この中から自分に合った志望理由を選ぶわけだが、その際次の2点に気をつけよう。

自分の重視している内容(志望動機)と合わせる

パンフレットに載っていることをそのまま書いても、ただの丸写しだと大学側はすぐにわかるし、何も響いてこない。自分が大学を選ぶ上で最も重要視していることや、自分の志望理由に絡めて述べていくことが大切だ。

「私は○○を学びたい。そのため最もその分野の研究について力を入れている貴学を志望した」「私は○○の理由から将来このようになりたい。そのため~な建学の理念のもと、××な校風で、AやBといった人物を輩出している貴学に魅力を感じた」

このように自分の希望と大学の特長を合わせていくと説得力が増す。

(例)経済学部への志望理由

私は経済について学びたいと思い、経済学部のある貴学を志望しました。私は経済に関してはまだ何もわからないので、貴学では経済学や経済史を一から学んでいきたいです。

これでは経済学部のある大学ならどこでもよいのかと思ってしまうし、経済についてわからないというくだりも書く必要はない。

私は将来地元であるこの県で就職し、地元経済のため貢献していきたいと考えています。そのため県内唯一の国立大学として、県内に大きな影響力のある貴学で経済を一から学びたいと志望しました。特に二年次に履修できる地域経済論と地域経済フィールドワークの授業には、大変関心を持っています。この二つの授業を通して、県内産業についての現状や課題を学び、将来活気ある県にするための方策について積極的に考えていきたいです。

このように将来やりたいこと、そのために貴学で学びたいことを明確に述べると「貴学にいきたい」という本気度が伝わってくる。結局志望校を選んだ理由も、自分ならではの内容を、具体的に書けるかどうかにかかっている。

書く内容は極力絞る

先ほどの①~⑦のアピールポイントはどれも志望理由となるものであるが、第一理由は①~③、その大学へのあこがれ、学びたいこと、将来目指すものをメインにしよう。大学はあくまで学びの場なので、いきなり設備や立地、部活動のことを書くのは好ましくない。

志望理由はいくつも書くと内容が薄くなってしまう。数を書けばよいと考えている人もいるが、逆である。小論文と同じで、志望動機(内容)は少なく濃いほうがよい。

例を見てみよう。

私が貴学を志望した理由は法律を学びたいからです。

そのために伝統があり、法曹界にも多くの優秀な人材を輩出している貴学を志望しました。貴学にはテレビや新聞などのマスメディアで活躍する教授が多く、授業もわかりやすいと評判です。また授業は実戦的なものが多く、法廷教室という施設では実際の裁判を体感することができます。図書館も蔵書が30万冊と豊富で、オープンキャンパスのときに見学しましたが、自習室も充実しており、私もここで勉強したいと思いました。

この例は、パンフレットやホームページに書いてあることを並べているだけで、”自分”がない、誰にでも書ける内容だ。しかもこのような「広く・薄く」という書き方をすると、これ以上内容を深めていくのが難しくなる。自分のことを入れて、自分にしか書けないような内容にしよう。

私は裁判に強い、戦える弁護士になることが目標です。
私が弁護士を目指すようになったのは、祖父の死がきっかけでした。私の祖父は数年前交通事故で亡くなりました。当初警察の話では、祖父に過失はないとのことでしたが、その後の裁判で敗訴し、父は悔しそうに弁護士の差だ、相手の弁護士に負けたといっていました。裁判において弁護士の能力で判決が著しく変わってしまうのは理不尽です。もちろん裁判に勝つことだけがすべてではありませんが、弁護士は少なくても依頼人の思いや期待、信頼に応えられる存在でなくてはなりません。私がもし弁護士なら、父をこのような辛い目にあわせなかったのに、という思いから弁護士を志すようになりました。

その中で私が貴学法学部を志望した理由は、○○事件の裁判で有名なA氏や知事にもなったB氏など、裁判に強い弁護士を多く輩出しているからです。貴学の卒業生にそのような戦える弁護士が多い秘訣は、実戦に重きを置いた授業にあると考えています。司法試験に合格するために座学を重視する学校が多いなか、貴学は法廷教室という施設を活用した模擬裁判を数多く行っています。裁判所からも近く、裁判を傍聴した上での議論も学生間で日常的に行われていると聞き、私の目標とする弁護士になるための場として、貴学以上のところはないと思い至りました。

また、貴学には司法試験に合格するための環境も整っています。私は図書館で勉強することが中学時代からの日課です。大学でも空き時間や放課後は図書館で、授業の復習や司法試験のための勉強をしようと考えています。貴学の図書館は自習スペースが豊富なことに加え、夜遅くまで利用できます。オープンキャンパスで見学した際にも多くの学生が静かに自習に勤(いそ)しんでいましたが、その点にも大きな魅力を感じました。

私は戦える弁護士になりたい→その点で貴学が優れている

私は日々自習をしたい→そのための環境として貴学図書館が最適

このように自分のことを入れて流れをつくると、説得力が生まれ、読み手からも「たしかにウチの大学に来たいというのも頷ける」と思ってもらえる。理由の数は長さにもよるが、多くても2~3程度に抑えよう。

最後は今後の抱負を書いて締める

締めは「以上より私は貴学法学部法律学科を志望します。」と書いて終わる方法もある。先ほどの弁護士の志望理由もこの一文を入れて終わってもおかしくはないが、特に意味があるわけでもないので、オススメはしない。

一般的には入学後や将来の抱負を書いて締めくくったほうがよい。ただし内容は、字数やその他提出書類による。

○字数が短い場合

○入学後学びたいこと(学修計画)を書く欄(書類)が別にある

この場合には、今後の抱負を残り字数に合わせて書けばよい。志望理由書はあくまで志望理由がメインなので、抱負部分をことさら長く書く必要はない。

先ほどの例でいえば、最低限この程度あればよい。

入学後は学友(友人・仲間)たちと刺激しあいながら研鑽(けんさん)を積み、裁判に強い、戦える弁護士になるための知識やスキルを授業・ゼミナールを通して身につけ、在学中に司法試験に合格できるよう努力していきたいです。

(さらに足したいときは以下を足す)弁護士となったあとは、実戦を多く経験を積むために地域で活躍する町弁(町ベン)の事務所で学び~、将来は~

○字数が長い場合
○学びたいこと(学修計画)を志望理由書に書くよう指示がある場合

この場合は特にシラバス(カリキュラム)をよく読み、何年次にどの授業に力を入れていきたいか、ゼミナールや専攻は何が希望かなど、具体的に書いていく。一つずつ区切って丁寧に書いていくと長く書ける。ここも授業名をバラバラ書くのではなく、何のために何を学ぶのか目的も入れていこう。

 入学後、1、2年次は教養科目の授業に力を入れていきたいです。弁護士には多様な人々から多方面の依頼があり、幅広い知識が求められます。私がこれまで関心を持ってこなかった分野に取り組む好機でもあるので、教養科目は哲学や経済入門など、他学部との共通授業を積極的に取りたいと考えています。

3年次のゼミナールはC教授の民事訴訟法のゼミが第一希望です。そこで~

司法試験においては在学中の合格が目標ですが、遅くても卒業2年以内には合格したいと考えています。そのために~

弁護士となったあとは、実戦を多く経験するために地域で活躍する町弁(町ベン)の事務所で学び~、将来は~

志望理由書は事前に準備できる書類なので、必ず最終行まで書こう。誤字脱字や、読み手がわからない文はご法度なので、早めに仕上げて先生や親に読んでもらおう。

面接時、面接官の手元には志望理由書があるので、自分で書いた内容を忘れず覚え、面接に臨もう。

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