入学者の半数が総合型・学校推薦型
2019年度の文部科学省のデータによると、大学入学者のうちAO入試によるものが全体の9.9%、推薦入試によるものが36.8%、合計で46.7%もの人がAO・推薦入試による入学者だ。
親や高校、塾のなかには『大学入試=一般入試(学力試験)』という考えを持っている人もいるが、その考えはもはや過去のものといってよい。2020年からAOは総合型選抜、推薦入試は推薦型選抜と名称が変わるが、この二つの入試による入学者は今後さらに増えていく。もしこれら入試で志望校を受けるチャンスがあるのであれば、迷わず受けるべきだ。
総合型・学校推薦型選抜でまず大事なのは調査書、つまり高校での評定だ。この基準をクリアしないとどれだけ頑張っても受からない。評定は受験の直前で急に上がるものではない。普段の定期テストでしっかりと結果を出していくことが大前提である。これら入試はいってみれば、日ごろから勉強や課外活動に真面目に取り組んでいる人のための入試なのだ。
提出書類や試験内容は大学・学部によって違うが、基本はこうだ。
総合型選抜=志望理由書+エントリーシート(自己PR)+小論文+面接(+その他書類)
学校推薦型選抜=志望理由書+小論文+面接
必ずあるのは志望理由書と面接、次に多いのが小論文、総合型選抜や特別推薦(スポーツ推薦等)だと、自己PRなどを書くエントリーシート(自己推薦書)やその他の書類が加わる。
志望理由書と自己PR
選考側が選考する際、受験生の何が知りたいだろう。
それは就職であってもアルバイトでも、高校大学専門学校、スポーツクラブや部活動、習い事でも同じだ。できることならあれもこれも知りたいだろうが、それを言い出すとキリがない。選考側が必ず知りたい項目はこの2つだ。
1つは「なぜ、ウチ(の大学・会社など)を志望したのか」
たとえば法律や経済を学びたいとしても、法学部や経済学部がある大学は無数にある。たんに家から近いから来たのか、学力の問題か、それとも何か明確な理由があるのか、どのくらい入りたいという気持ちを持っているのか、選ぶ側としては知りたい。
もう1つは「あなたはどのような人物なのか」ということだ。
どのような長所を持っている人物なのか、自分のことをどのくらい把握しているのか、アピールポイントを上手に説明できるかということも含め、大きな判断材料になる。
この2つは面接でも聞かれるが、事前に詳しく述べるための書類が、志望理由書(前者)と自己PR(後者)である。
書き方はテーマ型小論文と同じ
志望理由書や自己PRの書き方は、基本的にテーマ型(設問型)の小論文と変わらない。
まず最初に志望理由や自分のアピールしたい点を述べ、その理由をエピソードを入れて具体的に説明していく。そして最後に今後の抱負を書いてまとめる。
指定字数が学校や企業によって大きく異なるので、エピソードを膨らませたり、簡潔に書いたりして、長さを調整するとよい。
文体は敬体・常体どちらでもかまわない。丁寧さを出したい人は「です、ます」体(敬体)、力強く述べたい人は「だ、~である」体(常体)にするとよい。
大学生としてやっていく覚悟が試されている
受ける大学によって、特に総合型選抜では、かなりの量の文章が課される。エントリーシートや自己推薦書、活動報告書、事前課題などだが、この量を見て慄(おのの)いてしまう受験生も多い。だが、考えてもみよう。大学に入ればレポートや論文、文章形式の試験が待っている。そういったものをしっかりとやっていける人物なのかどうかが試されているのだ。
志望理由書やエントリーシートなどの提出書類は、小論文と違い、事前に何度でも書き直すことができる。願書を手に入れたらまずはコピーを取り、何をどのように書くかよく考えてから下書きを始めよう。できれば早めに書き上げ、高校の先生や家族に読んでもらうとよい。文字も可能なかぎり丁寧に書こう。
しっかりと事前準備を行い、最初から最後まで気を配って、悔いが残らないようにいまの自分が書ける最高の文章を提出しよう。