課題文型小論文の書き方

課題文型小論文とは

課題文型小論文とは与えられた文章を読んで設問に答えるタイプの小論文だ。文章読解型小論文とも呼ばれる。

設問は文章の内容をまとめる要約問題と、要約した内容や課題文の文章について自分の考えを述べる問題の二つが主だ。

テーマ型小論文の場合何を書けばよいかは一読すればわかるが、課題文型小論文はテーマや筆者(著者)の考えを文から読み取らなくてはならない。それさえできれば、書き方自体はテーマ型小論文とそう大きな違いはない。

課題文はこのような問題について書かれており、それについて私はこのように考える。

あるいは筆者はこう述べている。それに対して私はこのように考える。こういう流れで書けばよい。

しかし一筋縄ではいかないのが、課題文型小論文である。よく「このような型に流し込めば簡単」と教えている人や参考書があるが、そもそも問題が型通りではないので、そううまくハマるものでもない。それでもタイプや傾向があるので、練習していくうちにコツはわかってくるはずだ。

課題文のタイプを大まかに3つに分けるとこうなる。

①記事やデータなどある問題に対する報告がなされているもの(事実だけを述べているもの)

②評論や社説のように問題やテーマに対する筆者の考えが明快に述べられているもの

③エッセイや講演など論点がわかりにくいもの

実際にはどれかよくわからない、タイプ分けできるのだろうが、判別できないというのも多いので、これは参考程度に覚えておけばよい。

設問も5種類ほどに分類される。

A 課題文全体をまとめた(踏まえた)上で自分の考えを述べるタイプ(要約問題がない)

B 全体ではなく文章の一部に下線が引かれ、その点について述べるタイプ(要約のない下線部問題)

C 要約問題があり、要約を踏まえた上で自分の考えを述べるタイプ(要約と小論文がセットになっている)

D 要約問題とは別の箇所に下線が引かれ、その点について述べるタイプ(要約と小論文が分かれている)

E 課題文や資料はあくまで自分の考えを述べる上での材料・ヒントでしかないタイプ(テーマ型小論文の補足資料)

一般的にABEは文字数が多く、要約問題があるCDは小論文部分の文字数は少ない。だが国公立大学の後期試験のように時間が長く、資料が多い場合は設問も文字数も多い。

これも境界があいまいなので、分類自体は参考程度に覚えておけばよい。だが、設問によって課題文の読み方も変わるので、課題文を読む前に設問は見ておこう。受験校がすでに決まっている場合は、設問パターンはほぼ同じなので、過去問題で確認しておこう。

課題文の読み方

要約(要旨をまとめる)問題がある場合は必要な箇所と不必要な場所を選別しながら読むとよい。(必要な場所はかっこでくくったり、線を引く)

下線部問題の場合は、下線部の前後を特に重点的に読む。(他は流し読み程度で構わないことが多い)

筆者ではなく出題者の意図を読み取る

記事などの文章を書いている人を筆者、本・書物を書いている人を著者、小説や脚本などを書いている人を作者と呼ぶ。これらは最後に書いてある出典を見て判断するが、わからない場合や書いていない場合は筆者、あるいは「課題文では~」という書き方をする。

文章形式のテーマ型小論文だと出題者が文章を書くが、課題文の大半は出題者以外の誰かが別の目的を持って書いたものである。当然課題文の筆者は小論文の問題になることを意識していない。また、著書や記事の一部分を抜き出していることが多いので、全文を読まないと作者が真に意図している内容がわからないこともよくある。現代文の問題を当の作者が解いたら不正解だったという話も聞くが、それは十分あり得る話である。

小論文で(現代文でも)大事なことは筆者ではなく、出題者(問題を作成した人)の意図を読み取ることだ。何をもってこの問題をつくったか、何を書いてもらおうとしているのか、その点を意識して課題文を読んでいこう。

小論文の問題をつくるのは難しい。あいまいな文は使いづらいし、誰が考えても同じような答えになる問題もよくない。新聞記事は毎日無数にあり、著書を決めても何百ページもあるなかどのページを選ぶかも容易ではない。そのなかで選ばれた文章だ。必ず書いてほしいテーマ(論点)がある。そこを感じ取ることが課題文型小論文を書く上で重要な一歩だ。

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