小論文は自分の考えを書く文章
次に小論文とはどのような文章かだ。
小論文とは読んで字のごとく小さな論文のことである。
論文と聞くと難しく思えるが、そう身構える必要はない。自分の論(考え・意見)を述べる文章と考えればよい。
日記なら日々の記録であるからその日に思ったことや感じたことを自由に書けばよいし、感想文なら面白かった、感動したなど感想を書けばよい。それと同じで小論文は与えられたテーマに対する自分の考えを述べればよい。
テーマ「~についてどのように考えるか」
⇒ 私は(~について)このように考える。
例を挙げてみよう。
テーマ「今年の目標」
⇒ 私の今年の目標は、毎日2時間自宅で勉強することだ。
こういうことだ。テーマ(聞かれている内容)について自分の考えを述べる。
ごく単純にいえば、このような文章が小論文である。
プラスそう考える理由・根拠
だが、それだけでは不十分だ。
そう考える理由、あるいは根拠があって説得力のある小論文になっていく。
小論文=自分の考え(意見)+理由(根拠)
考えを答えるだけなら小学生でもできる。「将来の夢」というテーマで、プロサッカー選手になりたいという例で考えてみよう。
僕がプロサッカー選手を目指す理由はサッカーが好きだからだ。サッカーをやるのは楽しい。僕は2年生のときに友だちのゆう君に誘われて始めたが、毎日外が暗くなるまで練習している。これからもっとうまくなって将来はメッシのようなスター選手になりたい。
考えは述べられているし理由もある。だが説得力はない。この文を読んで「この子は将来メッシのようになるに違いない」と思う人はいないだろう。
では、次のような文章はどうだろう。
私の将来の夢はプロサッカー選手としてイタリアのトップリーグ、セリエAで活躍することだ。
私は小学2年のときからサッカーを始め、J1のジュニアユースチームで仲間たちと日々ハードな練習を積んできた。ユースに上がったあともチームの中心として18歳以下のトップカテゴリーである高円宮杯プレミアリーグで3位になるなど実績を上げたが、私個人はトップチームに上がることはできなかった。
その理由は1対1での弱さだ。私は身体が小さく、大柄の選手に当たり負けすることが多い。課題は重々承知していて、フィジカルトレーニングに力を入れるなど克服を目指したが、ユースチームの監督から現状J1では通用しないと判断されてしまった。
落ち込む私に監督は現役時代小柄ながらもセリエAで活躍したB氏の話をしてくれた。B氏は監督の高校時代の同級生だ。彼は小さな身体を大きく強くするのではなく、スピードを活かす方法で大柄な選手たちと勝負してきた。B氏はいまC大学のサッカー部のコーチをしているそうで、監督の話を聞き、私はC大学に進学して、B氏に教えを乞いたいと考えるようになった。
このように具体的に書くと、サッカーの実力はすでにたしかなものであり、夢を追いかけ、真摯にプロサッカー選手を目指しているということが伝わってくる。同じ内容でも理由説明がしっかり書かれていると俄然説得力が増してくる。
小論文で差がつくのは考えそのものではない。目指すものはなんでもかまわないし、課題文の筆者の意見に賛成なら得点が高く、反対なら低いということもない。
大事なのは理由や根拠の説明がしっかりとなされていて、説得力があるかどうかだ。説得力の有無によって小論文の評価は大きく分かれる。
そのために重要となるのが上記のようにできるだけ具体的に書いていくということ。そしてもう一つが、構成を意識して書くということだ。
構成を意識して書く
構成とは文章の組み立てのことだ。何をどのような順番で書くか、全体像をイメージしてから書くことでまとまりあるしっかりとした文章になる。
小論文の構成といえば、この二つの言葉が有名だ。
序論・本論・結論 起承転結
・600~800字の小論文は4つ程度に段落分けすること。
・初めの段落(序論・起)があり、中心となる段落(本論・承転)があって、まとめの段落(結論・結)で終わる。
序論・本論・結論と起承転結という言葉は、この二つのことを教えるのに適していた。そのため小論文の授業や多くの参考書でよく使われていた。もちろん上の二つは小論文において大切なことである。
だが一方で、序論・本論・結論、起承転結では具体的に何を書いたらよいのかよくわからないという欠点がある。
序論は問題提起の段落といわれるが、たとえば「将来の目標」という小論文のテーマで問題提起といわれてもわかりにくい。
「将来の目標は生きていく上で必要なものなのだろうか」
問題提起という言葉を真に受けて、このような書き出しをする人もいるが、まったく必要のない文章である。
同じように「転」で話を転じるといっても、何をどう転じたらよいのかわからない。先ほどの例だと、将来の目標を二つにすればよいのかと思い、まったく別の内容を入れる人がいるが、話にまとまりがなくなってしまい、評価はかえって下がってしまう。
らくぶん社では構成をわかりやすく別の言葉で説明している。
それについて説明する前にまずは小論文の種類から見ていこう。